生物が例えばセンザンコウやアルマジロやイソギンチャクやラフレシアなど、特殊過ぎる形態に進化するのは、進化論を8割ぐらいわかっている視点からみても、年月が数万年とかの進化期間があったところで"不自然"または"不可解"に思えることがある。自然がそのような進化の系譜を齎したのは、私見では、恐竜を滅ぼしたメテオのような天変地異または、そこまでいかなくとも大災害などの環境の異変である。(ラマルクの形質遺伝は100%ない)
大災害等で急変した環境で生き残るのはごく一部で、それだけでも進化が促されるが、それがボトルネック効果である。それだけでは、センザンコウのような特殊な形態に急に進化するのは考えにくい。その大災害が天変地異級の大きいものであれば、生き残る個体の数はほんの極少数に限られる。そして洪水などで地理的に遠隔地に分断され局所的に非常に少ない個体数が残った場合は、その場所を新天地として、少ない個体群が新しい環境に適応していきながら形質を遺伝的に進化させる創始者効果が起こり、残った個体群の遺伝子に末裔の形質が大きく左右される。進化の分岐の1つの点となる。
そして、ある個体のグループは1代で環境への不適応で死に絶え、ある個体のグループは何百代か続きながら進化していくがまた別の大災害による地形や地理の急変で不適応となって絶滅し、また別の個体のグループは進化して強い種となったり、そういうのを数万年単位内で繰り返す。もちろん、地理的あるいは気候的に大きな変動を起こした時には、形質が急変していたのとが仇となり新たな環境に不適応になったり、新たな天敵が地理的に存在してしまったりもする。数万年単位の進化論的には短いスパンでみても、大災害や食物連鎖が巡る生態系の中で、偶然的にある個体のグループが5個体~数十個体など小規模になりながらその種が進化の先の強い個体群として存在する蓋然性は充分にある。
その中で、行動習性による適応性(これは遺伝よりもグループの習慣による環境適応性)や、個体の少数度によってはレヴィ・ストロースが人類学で言ったような数学的な交配可能性の少なさから、交配(繁殖の個別性)がより特殊になり、近親相関の頻度が増える。それにより、突然変異や特殊な形質遺伝が発生しやすくなると思われる。
ここまでを纏めるのであれば、比較的短い大災害頻発期数万年の間に、地理的分断により遠隔地に住むことになる小グループが多数生まれ、ボトルネック効果や創始者効果が起こって進化が分岐し、また近親相姦的な遺伝子の急変も起こり、センザンコウやヒザラガイやラフレシアやハンミョウなど形や色や種的習性があまりに特殊な生物種の分岐元の種が生まれていったのだと思われる。もちろん分岐した後は、収束的に進化していくことになり、より形質の特殊度は増すだろう。
ここで人類の進化史に関する空想的仮説が浮かんだ。
2万年前~5000年前のHomoSapienceの世界には、”大洪水”が高頻度で起こっており、ギルガメッシュ叙事詩、旧約聖書、中国の伝承における洪水、そしてギリシャ神話の暗黒時代の原因と想定される天変地異などである。2万年前〜1万年前は氷河期の終わりであり、更新世から完新世への移行期とも言われ、海面上昇があったとともに、洪水をたくさんもたらした。とにかく世界各地に"大洪水"の話が伝わっている。
その天変地異の大災害群や海面上昇の中で、ある民族は分断され、ある人種は分裂し、ある民族群は孤島や僻地などに追いやられ、交配(繁殖の個別性)がナパーム弾のように分散したのではないか。
その各個体群がメソポタミア各地で隔離された、陸上の仮想的ガラパゴスの島々の中で人類は、語族・民族というだけでなく"種族"として、独自の枝分かれ的進化系統(上記生物種一般についてを参照)を、(限定的ではあるが)の中で短期的多様化的進化をしていたのではないか。骨格や身長などが明らかに違う、皮膚の色が違う、アドレナリン優位やドーパミン優位などが明らかに違う、これらは、たかだか新人の期間で起こしたにしては、多様性に富みすぎてはいなだろうか。
ところで、「海の民」という民族あるいは種族が、日本の世界史の教科書に載っているが、彼らは教科書を読む限り最強レベルの軍団であり、謎の民族とされる。上記の、突然変異的短期的な分散的な進化の中で、もしかしたらフェニキア人やヘブライ人の先祖あたりに、とんでもない遺伝の多様性が発生した可能性はある。トロール、ニンフ、エルフ、小人、巨人、修羅の如き形質の個体など、あるいはディオニュソスやオルフェウス、アルテミスやペルセフォネやハデスなど神々あるいは半神、それらは現実に存在していたのではないだろうか。それらは歴史時代における民族間の闘争の中で姿を消してしまい、今ある人類種の形質のみが生き残っているが、1万年前ごろは遠隔地にある人種同士の違いが多くみられ、小グループごとの多様性に飛んでいたのではないか。
もちろん口頭の言い伝えなどで、ディオニュソス神(子供の時に海賊に拉致されて、船上で怒り狂い船員たちをイルカ、魚、植物、哺乳類などに変えた)やアルテミス神(夜の山でニンフと暮らしているときアクタイオンがやってきて姿見られたことに激怒しアクタイオンの脚を鹿の脚に変えた)などは、人々の信仰と化すなかでその神格の高さから誇張や過度の神話化はあったかもしれない。
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