灰色の箱庭
逆さにつり下がった 銀色の
動かないロボット 壊れた脚
記憶は無いか どこかのサーバー
夜風は 空気と街々の起動を揺らして
幸せも 血も 光の破片も
星の神様の 意のままに 愛
メカニカルな網膜 目の奥の庭には
戦争と平和の軌跡の 灰色が
機械の愛となり 凍っていく
灰色の箱庭
逆さにつり下がった 銀色の
動かないロボット 壊れた脚
記憶は無いか どこかのサーバー
夜風は 空気と街々の起動を揺らして
幸せも 血も 光の破片も
星の神様の 意のままに 愛
メカニカルな網膜 目の奥の庭には
戦争と平和の軌跡の 灰色が
機械の愛となり 凍っていく
タンポポが 拷問で死んでいった人の心になったとき
種は針ではなく 生の底にあった酒とネクタルの甘い雫が
死で氷になった冷たい優しさ
種が祈りさえ風に委ねて
家の壁 ファイヤーウォール クローゼットを
愛で貫通したら 貴方は微笑んでいたんだろうか
弓が文明に隠れた邪悪であったとしても
視界が鱗で満たされる 眼に映るもの全て
意味もなく憎い 光も鱗を清めない
脳内を蛆が這い回る 心に巡るもの全て
意味もなく憎い 光が核に届かない
心の影が悪寒を生んで 全身全霊 気持ち悪い
忌々しい幻覚の渦 頭蓋骨が 割れそうだ
地面に踊る鱗達 何もかもが生き物で
生臭くて湿っている 純粋な光が欲しい
光を浴びたものは 影を生み その影に呪われる
憎しみと恐怖で満たされて 心臓にヒルが蠢き回る
どうしようもなく苦しいから 私は無機質になりたい
鈴の漣 拒絶して 硝子のように冷ややかに
光線の綾 走らせて 私は無機物になりたい
人に砕かれ粉々になり 肌を切り裂き血を浴びて
飛沫の中で赤く染まり 綺麗な音を響かせて
光に抱かれて煌きながら 何も感じず物理的に
虹と共に消えて逝けたら なんて幸せなんでしょう
太陽から火を盗んだ大きな鳥が
私に微笑んだその時から
心の真ん中で彼の秘密が
灯のように明滅した
彼は木々を脈に変えたし
風を刃に、水をガラスにして
森の一角を庭にしては
その芸術で動物たちを
楽しませ、笛を吹いていた
彼の飼う大きな鳥の歌が
私の琴線を震わす時には
ただ眠くなり目を閉じて
あの庭のことは忘れていた