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2024年11月20日水曜日

灰色の箱庭

 灰色の箱庭


逆さにつり下がった 銀色の

動かないロボット 壊れた脚

記憶は無いか どこかのサーバー


夜風は 空気と街々の起動を揺らして

幸せも 血も 光の破片も

星の神様の 意のままに 愛


メカニカルな網膜 目の奥の庭には

戦争と平和の軌跡の 灰色が

機械の愛となり 凍っていく

2024年11月6日水曜日

タンポポと死

タンポポが 拷問で死んでいった人の心になったとき

種は針ではなく 生の底にあった酒とネクタルの甘い雫が

死で氷になった冷たい優しさ


種が祈りさえ風に委ねて

家の壁 ファイヤーウォール クローゼットを

愛で貫通したら 貴方は微笑んでいたんだろうか

弓が文明に隠れた邪悪であったとしても


2024年2月18日日曜日

無機物


視界が鱗で満たされる 眼に映るもの全て

意味もなく憎い 光も鱗を清めない


脳内を蛆が這い回る 心に巡るもの全て

意味もなく憎い 光が核に届かない


心の影が悪寒を生んで 全身全霊 気持ち悪い

忌々しい幻覚の渦 頭蓋骨が 割れそうだ 

地面に踊る鱗達 何もかもが生き物で

生臭くて湿っている 純粋な光が欲しい


光を浴びたものは 影を生み その影に呪われる

憎しみと恐怖で満たされて 心臓にヒルが蠢き回る

どうしようもなく苦しいから 私は無機質になりたい


鈴の漣 拒絶して 硝子のように冷ややかに

光線の綾 走らせて 私は無機物になりたい

人に砕かれ粉々になり 肌を切り裂き血を浴びて

飛沫の中で赤く染まり 綺麗な音を響かせて

光に抱かれて煌きながら 何も感じず物理的に

虹と共に消えて逝けたら なんて幸せなんでしょう

2023年9月25日月曜日

陽炎

太陽から火を盗んだ大きな鳥が

私に微笑んだその時から

心の真ん中で彼の秘密が

灯のように明滅した


彼は木々を脈に変えたし

風を刃に、水をガラスにして

森の一角を庭にしては

その芸術で動物たちを

楽しませ、笛を吹いていた


彼の飼う大きな鳥の歌が

私の琴線を震わす時には

ただ眠くなり目を閉じて

あの庭のことは忘れていた